この世界に存在する愛らしさと不気味さ、生と死という相反する要素の調和をテーマに制作を続けている江口綾音。
彩度の高い色彩で描かれる江口の絵画には、クマの「ぬいぐるみ」のような可愛らしい生き物、カラフルなキノコなど空想のような世界が表現されています。しかしその細部には「血肉」が描かれおり、その不思議な世界はまさに私たちの生きる矛盾に溢れた世界と同じであると気づかされます。
本展では旧作から最新作までを展示いたします。江口の作品のもつ絵肌や躍動感、艶やかさなど、さまざまな表現が幕と幕をつなげる幕間(まくあい)のように交差する様を、お楽しみください。
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《海の記憶》
2024年
油彩、キャンバス
130.4×80.3 cm
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《渚》
2024年
油彩、キャンバス
24.3×33.5 cm
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《菌の化⾝》
2024年
油彩、キャンバス
33.5×24.3 cm
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《⾁の化⾝》
2024年
油彩、キャンバス
33.5×24.3 cm
江口綾音/Eguchi Ayane
1985年北海道生まれ。2011年金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科修士課程油画コース修了。同年「KANABIクリエイティブ賞2010」修了制作の部で審査員特別賞を受賞。以降国内外を問わずグループ展、個展を開催し人気を博している。
一見可愛らしいキャラクターが存在する空想世界に見えるが、その細部には血肉など不気味さ、暴力性が見え隠れしている矛盾と調和をキャンバスに表現している。
主な個展に「糖衣の風景」(2023年、Hiro Hiro Art Space、台湾)や「分解するQ」(2022年、ミヅマアートギャラリー、東京)などがある、また2024年に開催された「ART OF MIKU」(PARCO MUSEUM TOKYO、東京)にも参加した。
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