1978年東京都生まれの植田工は、東京芸術大学を卒業後、株式会社オリエンタルランドでデザイナーとして従事し、退職後は脳科学者の茂木健一郎氏に師事しアーティストとしての活動を始めました。2017年に独立し、現在は絵画やイラスト、デザイン、映像、コラムなどさまざまな表現を展開しています。
本展では、母子像につながる神話・寓話として、人魚、セイレーン 、パンドラ、マグダラなどをモチーフとした新作キャンバス作品を展示いたします。
植田 工/Ueda Takumi
1978年 東京都生まれ
2005年 東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
2007年 東京芸術大学大学院美術解剖学専攻 修了
個展
- 2015年
- 「Maria」Rise Gallery、東京
- 2020年
- 「フランダースの犬の事など」CAPSULE、東京
- 2021年
- 「Wander」AKIO NAGASAWA GALLERY、東京
グループ展
- 2012年
- 「Creativity continues」Rise Gallery、東京
- 2018年
- 「AOMORIトリエンナーレ」池上高志+植田工、国際芸術センター青森(ACAC)
壁画制作
- 2019年
- シブヤ・アロープロジェクト、JR山手線高架下、東京
アトレ目黒店、東京
出版物
- 2012年
- 『生命のサンドウィッチ理論』文:池上高志、絵:植田工 (講談社)
- 2021年
- 『植田工の展覧会のミカタです―僕が絵に描いて皆さまをアートの旅にお連れします。―』文・絵:植田工 (オデッセー出版)
アンデルセンの『人魚姫』では、まだ15歳の人魚姫が、声や家族、愛されなければ命をも失うという条件のもと、人間の姿を手に入れます。しかし悲劇の末、海に身を投げ泡になり、空気の精となって永遠の魂をえるため、母子の慈愛を見守るという試練が与えられるのです。大人でも子供でもない15歳の子に、まるで「母なるもの」のような眼差しを獲得せよとはどういうことでしょう。
これまで数々の神話や寓話にえがかれた女性にも、人魚姫のような何か理不尽なことが与えられています。セイレーンの誘惑、パンドラの使命、マグダラの罪。それらの図像を描きなおすなかで、その姿の内容と自分の中にある理不尽さをバラしていこうとしています。しかし、いまこの時代に「母なるもの」とはどんな姿として現れているのでしょう。
「母なるもの」の姿を探すために、これまで聖母子像の図像を通して描き続けてきましたが、いまだ「母なるもの」の正体は掴めません。人魚姫に与えられた試練のように「母なるもの」の眼差しを誰もが持ちうるものだとすれば、絵を描くこととその眼差しを獲得する修練が重なるようにと思いながら描いています。
植田 工