水野里奈の作品は、重層的(レイヤー)に置き換えて構成されています。
その画面には緻密な装飾性と大胆なストローク、極彩色と単色、西洋と東洋といった相反する要素が混在します。さらに、麻のキャンバスをあえて部分的に残すことによって、描くことと描かないことが鮮烈な印象を私たちに与えます。
一方、ドローイング作品に見られる即興で勢いのある滑らかな線は、植物を主体として様々なモチーフと絡み合い、意のままに変化しながら柔軟に多様なものと関係性を結んでいきます。
本展は、庭に関連した新作の油彩作品を中心に展示いたします。
水野里奈/Mizuno Rina
- 1989年 愛知県生まれ
- 2010年 ブライトン大学(Fine Art Painting, University of Brighton)(イギリス)留学
- 2012年 名古屋芸術大学 美術学部 洋画2コース 卒業
- 2014年 多摩美術大学 大学院美術研究科 修士課程 絵画専攻 油画領域 修了
主な個展
- 2020年 「みてもみきれない。」ミヅマアートギャラリー、東京
- 2019年 「思わず、立ち止まざるをえない。」ポーラミュージアムアネックス、東京
- 2018年 「水の結びめ」常陸国出雲大社ギャラリー桜林、茨城
- 2018年 「入れ子状の繋がり - nested structure -」六本木ヒルズA/Dギャラリー、東京
- 2017年 「ARKO 2017 水野里奈」大原美術館、岡山
主な受賞
- 2022年 愛知県芸術文化選奨・新人賞
- 2015年 奨励賞(VOCA展2015)
- 2014年 三菱地所賞(アートアワードトーキョー丸の内2014)
- 2012年 アッシュ・ペー・フランス賞(アートアワードトーキョー丸の内2012)など
主なパブリックコレクション
- 大原美術館
- 愛知県美術館
- 三菱地所
- 第一生命保険株式会社
- 高橋コレクションなど
書籍装丁
- 2022年 島田雅彦「パンとサーカス」講談社出版
- 2020〜2021年 島田雅彦「パンとサーカス」新聞連載小説(東京新聞・中日新聞・北海道新聞・西日本新聞にて連載)、挿絵
- 2020年 小池昌代「かきがら」短編小説、幻戯書房出版、装丁
Garden
自宅の小さな庭でガーデニングを楽しんでいる。
ひとつの株から何ヵ月か楽しめるように、色々と種類を試してみた。季節によって肥料を調 整し場所によって水をあえて少なくするなど、ある環境に合わせながら育て方を選んでゆく。
想定どおりにゆかず、失敗と成功の積み重ねで少しずつ理想に近づいてゆく様は、絵画の制作と少し似ている。
寒い早朝の猫背になっているビオラも、陽の刺す午後は背筋を伸ばしピンとしている、1日の中でも意外にあちこち動き回る。穏やかな天気が続くと花々をかき分けチューリップがひょっこり顔を出す。時間とともに起こる変化を目で追いたくなり、見飽きない。
そんな「見ても見きることのできない」絵画を目指している。
水野里奈