杉山有希子「SALVAGE」

2023.8.11(金)~ 9.3(日)

人工物と生物の物質的な違いを浮き彫りにするだけでなく、朽ちる運命にある“過去の産物”と今を生きる“生命”を対比させ、真実であるにもかかわらず、まるでSFのようなディストピア的な世界を創りあげている「CRASH」シリーズ。
最初期のソ連の宇宙服や実験用のマネキン。事故により秘匿されたNASAラボラトリーの風景など、ノスタルジックな未来像と現在進行形の物質的リアリティが衝突し、新たなイメージを創出している人類の宇宙空間への挑戦を記録した「PHASES」シリーズ。
失われた生態系への復元を紐解く、地球規模の環境変化に着目した北極圏での「PLANET」シリーズ。
「CRASH」「PHASES」「PLANET」は、人間中心主義の終焉と「次の世界」につながる光景を提示する、未来へのランドスケープとして次の世界に繋がる光景を共有します。
近赤外線カメラで撮影された杉山の作品はスイス製のUVプリンターを使い特殊な立体感やテクスチャーにより、今までに無い新しい写真表現を実現させています。
写真芸術の新しい可能性をご覧ください。

人々が不要と判断し遺棄したこれらのオブジェクトは、役割を終え環境の循環の中へと身を委ねる他ありませんでした。自然のサイクルに埋もれた人工物を可視化していくことで、我々が普段想像することのないであろう“その後の世界”は、まるで空想科学小説のようなディストピア的な世界でありながら、それは真実の光景である事に気付かされます。そして、人々の手によって作り出されたこれらの人工物は、この自然界においてあくまでも“異物”として半永久的に残り続けるでしょう。私は鑑賞者の心に訴えかけるために、これらの人工物である被写体を人の顔や身体に見えるよう撮影しています。

杉山有希子


《CRASH CA 01》
《CRASH CA 01》
2022年
UVインクジェットプリント、白金紙、アルミフレーム一体型
60×90×3.3 cm
《PHASES SPASESUIT 01》
《PHASES SPASESUIT 01》
2022年
UVインクジェットプリント、アルミフレーム一体型
60×90×3.3 cm
《PLANET ARTCIC ALIENS》
《PLANET ARTCIC ALIENS》
2022年
UVインクジェットプリント、アルミフレーム一体型
100×75×3.3 cm
《PLANET F》
《PLANET F》
2023年
UVインクジェットプリント、アルミフレーム一体型
90×60×3.3 cm

杉山有希子/Sugiyama Yukiko

1985年京都市生まれ。2011年金沢美術工芸大学彫刻専攻修士課程(菅木志雄ゼミ)修了。同年4月から京都市を拠点に作家活動を開始。彫刻家として活動の傍ら2017年から写真を始めロサンゼルスへ渡米。翌年、国際的な写真芸術祭 KYOTOGRAPHIE 2018 にて「CRASH」シリーズがファイナリスト賞に選ばれる。

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