川上一彦「続・奇禍グラフ」

2025.10.31(金)~ 11.16(日)

川上一彦の個展「続・奇禍グラフ」では、昭和という時代が幕を開けて百年を迎えた今、再び「奇禍」の意味を見つめ直します。戦争や台風、地震といった災害のイメージは、過去のものではなく、いまなお現代社会の不安や混沌と共鳴しています。
絶望のようであり、同時に希望のようでもある光景。近代からの警告的なイメージを媒介に、川上は昭和百年の時を超えて、現代に無限の物語を発信しています。

「奇禍」とは思いがけない突然の災難を指します。大正・昭和初期の印刷物を再構築したコラージュのなかには、戦争や台風、地震などの自然災害、激動の時代を懸命に生き抜いている人々がいます。絶望のようでもあり、希望のようでもあるそれは、遠い異世界に見えるが、状況は現代社会に近似しています。近年、頻繁に現れる「奇禍」。作品は近代からの警告的イメージの姿を借り、現代に無限のストーリーを発信します。

大正・昭和初期の写真を使ったコラージュ作品を、掛け軸に仕立て上げました。
古い日本の風景を、不思議な世界観に表現しています。
タイトルの「奇禍」とは予期せぬ災いの意味をもっていますが、古い資料を再解釈して負の中でも希望を見つけて生きる人々を描いています。
過去の異世界のようですが現代の状況ともシンクロする内容でもあります。
近年にもコロナという疫病が発生致しましたが、その中でも希望を見つけ生き抜き今に繋がっている事と思います。
警告的なメッセージもありながら、作品の中には無限のストーリーが展開しています。
また神話のような世界観も意識して制作しています。
この超越的世界と対峙し、固定概念を排した、世界観を堪能してもらえればと思います。

川上一彦


川上一彦《ミステリームーンの部屋》
川上一彦
《ミステリームーンの部屋》
2025年
45×60 cm
デジタルプリント、阿波和紙
川上一彦《一番星の輝き》
川上一彦
《一番星の輝き》
2025年
50×55 cm
デジタルプリント、阿波和紙
川上一彦《楽しい商店街の出来事》
川上一彦
《楽しい商店街の出来事》
2025年
60×60 cm
デジタルプリント、阿波和紙
川上一彦《山車の操縦者》
川上一彦
《山車の操縦者》
2025年
36×60 cm
デジタルプリント、阿波和紙

川上 一彦/Kawakami Kazuhiko

東京生まれ。1995年より作家活動を開始。20代の頃に出会った現代美術の表現の自由さや多様性に感銘を受け、創作の道へと進む。
大正・昭和初期の印刷物を素材にしたコラージュ作品を中心に、ストーリー性と神話的な世界観を重ね合わせた独自の表現を展開している。

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