これまで「死」や「矛盾」をテーマに表現を続けてきました。
本展では、これまで目を向けてきた「『生』と『死』、『過去』と『現在』。相反するもののあいだにある矛盾や葛藤を見つめ、独自の世界観を描いてきた前田敏幸。」から少し離れ、
今ある毎日をテーマに新作を発表します。
朝起きて、歯を磨き、絵を描き、仕事をして、電車に揺られ、
家族で食事をして、眠る。
その日々がいつか終わることを知っていながらも、何気なく繰り返すうちに、
いつの間にかただのありふれたものに変わっている。今感じているこの尊ささえ、やがてすっかり忘れてしまう。
いつかふと振り返ったとき、何気なかった一日が、
幸福に満ちた日々だったのだと思い知ることになるだろう。
できるだけ当たり前に過ぎていく日々の中にあるものを、見つめて、形にして残す。
そんなことを考えながら、作品をつくりました。
この機会にぜひご高覧ください。
《朝起きて、いつか眠る》
2026年
アクリル絵具、キャンバス
130.3×130.3×3 cm
《幕引き》
2024年
アクリル絵具、キャンバス
112×162×3 cm
《抱擁》
2024年
アクリル絵具、キャンバス
80.5×80.5×3 cm
《ゆりかご》
2025年
アクリル絵具、キャンバス
60.6×60.6×2.6 cm
前田敏幸/Maeda Toshiyuki
1990年大阪府生まれ、現在は東京を拠点に活動。主にアクリルを用いた絵画を制作。一見、稚拙でポップな描写だが、前田が幼少期に「死」への強烈なトラウマを負ったことから、どの作品にも生や死、生きていく上での矛盾や葛藤が垣間見える。人が直視できない問題も、コミカルな表現を通じて、受け止め昇華すべく表現を続けている。


